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ヤスダファインテ
ヤスダファインテ(株)(本部、東京都墨田区)は、ステンレス製タンク及びタンクローリー、サニタリー製品機器の製造メーカーとして業界に確個たる地位を築く。
その製品加工技術は、設計、製作、施工まで一貫した技術力を持ち、主たる素材であるステンレス鋼板を加工する設備として切断、板金、溶接、仕上げまでの確かな設備を保有している。
そこで同社の持つ特殊溶接技術に注目し、本社・鴨川工場を訪問、一昨年夏、同社が導入した特殊溶接技術・プラズマ溶接システム(小池酸素工業製)の実働状況を取材した。
同工場は、ステンレスサニタリータンクの製造工場で、材質はSUS304、304L、316、316L、さらに使用条件によってはチタンやスーパーステンレス材の加工も行うタンク専任工場である。
全体で9工場、その内、タンク製造ラインは3工場が並び、切断から仕上げまでの一貫加工を行う。溶接工程に目を向けるとTIG/MIG溶接(手棒)専任の溶接スタッフ100人ほどが勤務し、その加工量は月間100トンというから大変なものである。
溶接加工部門における責任者・製造一部の柏尾進一課長にステンレス溶接の板厚や稼働率状況について聞くと「現在の溶接業務は各種ステンレス鋼板の溶接を行うが、主要材とては316や316L、さらに場合によってはスーパーステンレス材などの高品質材の溶接が中心で、場合によっては10ミリの板厚溶接もあります」とのこと。
このような多種多様な溶接加工内容となると、その加工依頼が適用場所や用途により設営条件や内容がバラバラとなり、多品種少ロットでの加工となるためである。
同社保有の特殊溶接技術の代表的な例は、小池酸素工業製の溶接システムでみられる。これは450Aプラズマ溶接電源(仏・サフ社)、マニプレーター、ターニングロール、及びアークモニターからなる自動溶接システムである。小型から大型までのタンク素材を搭載し、シーム溶接と回転させて、自動円周溶接が可能というワンステージでタンク溶接ができる効率の良いシステムである。
同社の円周自動溶接の歴史は古く、20年の歴史を誇る。現在稼働の溶接システムの前は、メッサー社製の電源と治具を組み合わせて、この溶接システムを稼働させ、各円周溶接に必要なデータや工法などが、この長い歴史の中で培われてきた。
そこで新技術の導入後は、従来から保有の加工データを活用し、最新システム技術での溶接加工が行え、新システム導入後も、これといったトラブルもなくスピーディな導入稼働となった。
システム導入後の稼働状況につき、溶接システム加工担当者・吉田洋美副主任に聞くと「タンクの円筒部分の製作については、大きなモノから小さなモノまで直線で6メートルの溶接が可能なものはクランプシーマ(小池酸素工業製)でシーム溶接を前工程で施工していたが、現在稼働の溶接システムではワンステージでシーム溶接と円周溶接が可能である。1.2ミリ¢のステンレス・ソリッドワイヤーをトーチ前に送給して円周溶接を行うため、裏波がきれいに出てアンダーカットがない。従来のモノだとワークによって治具が異なり、ワークセットの時間も掛かったが、今はどのようなワークでも短時間でセットでき、その後、ただスタートボタンを押すだけで溶接開始、また溶接スピードも大きく向上し、生産効果はまさにTIG(手溶接)溶接と比較すると、10倍以上、従来使用のプラズマ溶接装置に比べても、1時間以上のスピードを実現していることから、その効率向上を評価している」とのこと。
次に、溶接品質管理のための検査機能につき聞くと、吉田副主任は「従来の溶接システムだと直接、そのトーチの動きを注視したり、大型ワークによっては高所からの監視といった作業が必要で、作業環境からも不備な点があったが、現在のシステムの場合、アークモニターが作業者の負担を軽減し、作業効率も上げている。溶接加工中、アークモニターを見ているだけで状況に応じた適応操作がでくるため、品質管理と作業環境は大幅に向上した」とのことである。
ただ、時代のニーズである無人、無監視での溶接は、同社の業務内容があまりにも多品種少ロット、場合によっては一品モノが多く、その素材となる鋼材も高付加価値の素材が多く、コストを考えると酸化や溶接不良があってはならないため、監視は必要で、無人・無監視は不可能のようだ。
その上での新たな取り組みとしては、大型ワークの溶接ではなく、径の小さい溶接の自動溶接を目指したいとしている。
この点につき栢尾課長は「細径ワークの溶接の自動化は、まだデータの収集が充分でない。自動システムでの溶接となると、まだ加工データが少なく、今後の取り組みと考えている」と、その課題への明確な答えが返ってきた。
最後にメーカー対応につき聞くと「導入後、ノズル位置などいくつかの改良点はあったが、その都度、スピーディな対応がなされて問題なく、現在の稼働につながっており、メーカーのアフター体制はたしかなもの」との意見でだった。
同社のステンレス円周溶接への取り組みは、次代ニーズへの確かなものがうかがえ、今後も、その技術への様々な取り組みに注目である。
[平成22年2月25日号(No.592)掲載]